ヤマダメモー

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小説「老ヴォールの惑星」感想(ネタバレあり)

Outer Wilds界隈で話題の以下の短編小説を読んだので書き殴りました。

老ヴォールの惑星 | 小川一水 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

 

 

1冊の中に4本入っていて、今回は看板でもある2本目の「老ヴォールの惑星」についてです。

小説自体とOuter Wildsのネタバレありです。直接関係なく恐縮ですがOuter Wildsクリアしてない人も見ないでください。

 

 

言いたいこと

これはOuter Wildsですわ・・・めっちゃ良かった!!
思いを継ぐ系は大好物なんですわ。良かった!
要素ごとに好き勝手列挙します。
 

世界観の関係

とりあえず導入のヴォールとフライマの会話で意味が分からない点が多くて面喰らったので、その辺にあった紙の隙間に雑メモを走り書いた。よく分からないのも良いですね。こんなのアップせず清書したい気持ちはあるけど、ちょっと時間取れないんですまん。

 
短編でも星系と生態系の設定、両方ちゃんと書いてくれてよい。こう、化学やら物理学やら詳しいともっと面白いんだろうなぁ。俺は全然ないです。読み取れた内容で印象に残ったところを以下に記載します。
 
・繁殖はせず、珪素と金属が結びつくと誕生する。偶然なんだけど、大変な環境だったからそれなりに発生する。地球の生命の誕生とかもそんなノリだったのかな。
 
・暴れ狂う気流の中に生きるから、気流を流せる円筒状の身体、かつプラズマジェット噴出で移動、定位する。ひれ足が飛行機の尾翼みたいに姿勢制御に役立つ。金属生命体というか、宇宙の別の生き物でとても良いですね。
 
・栄養素の接種目的が2つ。風によるエネルギーとしての電荷生成と、身体の成長のための共食い。共食いはドラゴンボールナメック星人の同化みたいに、あっという間に吸収できるし、得た知識を与えることができる。便利だねー。
 
・物は作れないが個体に知識が蓄積され、体表の光信号で同種での通信と共有が可能。珪素と金属の混合生命体ってことだけど、珪素って調べたらシリコンなのね。え、じゃあフラッシュメモリー生命体ってことでは?そりゃ一瞬で伝達できて記憶し続けられるわ!共食いはシリコン素材の結合と記憶領域の結合ってことで、パソコンで記憶領域増設してるみたいなノリかな。魂というか、CPUは失われちゃうのか。
 
・耐風のための隊列、レース系で見るスリップストリームかと思ったけど、南極のペンギンの塊の方が近そう。ただ大きい個体が前に出ると耐えきれず丸ごとぶっ飛ばされるので、逆三角形の隊で小さい方から順番にみんな少しずつ担当するってのも面白い。
 
・星や単位とかの説明、ヴォードが生きた時代から変わってる気がする。最初は距離を1万体長とか言ってるが、最後はkm単位とか精度が向上しているの良いと思った。(が、見直すと発言じゃないから読者向けに分かりやすく説明しているだけかも。)
 
・母星の意味合いが、恒星サラフォルン側なのは何でだろう。サラーハに打ち寄せる熱波こそが自分達を生み出したという思いが強いのかな。
 
・公転の意味合いが、彼らからは天動説(恒星のサラフォルンが移動)だったのが、最後の外星系(人類)からの観測だと地動説(荒れ狂うサラーハが移動)で観測者によって違うのもよい。自転がないって説明もあり、サラーハの動きが良く分からなかったんだけど、公転軌道が楕円形で、自転速度が地球の月と同じで常に同じ面が恒星を向いていると想像。で、恒星側が昼半球、裏側が夜半球。サラーハからは自転していないと観測していたなら、恒星との距離が変わることで四季があるのは公転軌道が楕円形だからかなーと想像。地軸の傾きはよくわからん。地球との周期の関係まで考える知識がないので誰か整理してくれてないかな。
 
・サラーハが水素大気と超臨界水(これも物理的な用語なのね)でできていて、季節によって場所が行き来するの、Outer Wildsの巨人の大海に、灰の双子星の砂の動きが混ざった感じでよかった。過酷すぎる。
 

ストーリー寄り

・タイトルであるヴォールが即退場して驚いた。別のサラーハ探しに行ったかとも思ったけど、マジで孤独死したのか・・・。
 
・ヴォールと話していたフライマの死に方、彗星って侵入者じゃん!Outer Wildsだ!
 
・って思ったらもっと強いトーバイが後に控えてた。宇宙は終わらないけど母星が死ぬのもOuter Wildsだ!もしくはドラゴンボールのナメック星の方が近いかも。
 
・個体の存続よりも、知識と経験の存続を大事にする生き方、良い。共食いしたり、情報伝達したりしつつ次世代に繋げ、母星の死期を悟ってからは別の知的生命体へ繋げようとする・・・実に良いね。二つ名があるから、昔の個体が何を見つけたかも受け継がれてるね。特に自己犠牲で発展を促すクーリシュ偉大すぎる!二つ名はつかなかったけど、恒星には名前を残したっぽいね。
 
・別の知的生命体を探すの、Outer Wildsの宇宙の眼を探しているようで良い。自分たちの特長である光感度でドップラー恒星から見えた惑星達からは応答が得られず、探索方法も直列法から重ね合わせ法と色々試して進歩するも見つからない。最後には若者達が力を合わせ、先人ヴォールの伝聞を元に協力して探すのエモいねー。成果が得られなくて、知識がある長老たち含めて諦めるやつがいる中、向こう見ずなやつらが情熱や執念で事態を動かすの良い。
 
・通信先が我ら人類なの、ご都合感もあるけど良い。ボイジャーのゴールデンレコードが届く前にあっちからアプローチしてくれて人類ラッキーだ。コミュニケーション取るの実際にはハイパー大変だと思うけど、サラーハまで往復できるぐらい科学技術が発達したのだから何とかなるんじゃろう。未知の知的生命体との対話はロマンなのだ。
 
・生き残ったのは、諦めて寝てて大きくならなかった個体であるテトラントってのもなんか良い。そして、更に次の生命体を探す仲間になってくれるのもよい。
 
・種族名は、ここに至るため受け継がれたヴォール。だから最初のヴォールは老ヴォール。そして老ヴォールの惑星が指すのは木星。ガス型だもんなーなるほどね!ただせっかく着いたけど、ヴォール達はあの鬱陶しかった熱波がないと生きられないの悲しい。別の星系で見つけような!
 

まとめ

ロマンのある違う星系の知的生命体の話で、更に思いを継ぐ系でとても面白かった。
知識と経験を次に受け継ぐ。実に好きな話でした。