ヤマダメモー

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小説「幸せになる箱庭」感想(ネタバレあり)

Outer Wilds界隈で話題の以下の短編小説を読んだ感想文(2)です。

老ヴォールの惑星 | 小川一水 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

 

1冊の中に4本入っていて、今回は3本目の「幸せになる箱庭」についてです。

小説自体とOuter Wildsのネタバレありです。直接関係なく恐縮ですがOuter Wildsクリアしてない人も見ないでくださいね。

 

 

 

 

 

 

言いたいこと

Outer WildsのDLCじゃん!ウワー!!
 

世界観とか

・辿り着いた先の円筒状の巨大コロニーの中に自然豊かな植生って!未知の言語体系と未知の知的生命体って!流れ者じゃん!!しかもそれ仮想現実なのかよ!流れ者じゃん!!仮想現実が再現しているのその人の周りだけって!流れ者じゃん!!イメージめっちゃできるよ!
 
・母星切り崩してプロセッサにしたっていうのも、思い出しちゃうね!ただ今回は周りの惑星も切り崩した上に、外星系の物資まで増築しちゃって質量増大してるけど、重力的なものは大丈夫なのかな。リング状だとどうなるんだ。ラプラスの魔だから何とかなるんか。
 
・クインビーの、知的生命体が試行錯誤して発展したり頑張ったりするのを鑑賞したいっての、俺たちOuter Wildsゾンビと同じじゃないか!気持ちめっちゃ分かる。いいよね。悩みや恐れ、仮説発見、仮説検証の果てに辿り着くその結論。人によって辿り着き方が異なるそれぞれの旅路。俺たちが超技術を手に入れたらああなってしまうのか。
 
・超次元的存在だから、望む最大公約数を叶えられますはそうなのかもだけど、再現では一応リソース削減してるんだよね。完全再現ではなくその人の周りだけって。なら数が増えると幾何級数的に計算資源使いそうだけど、他の知的生物種含めて何とかなるんか?180億人程度は問題にもならないらしいけど・・・。もしリソース問題があって、さらに今回発生した矛盾問題考えると、実際の本人たちを使うと面倒だから、人間関係は断って個々にダミー人間当てる方が簡単そうな気もしたけど、見てて面白いのはその人間関係の偶然も含めた揺れだから意味なくなっちゃうな。こんだけ技術力あるなら、各地に目やスパイカメラ的に飛ばして遠隔ビオトープ的に見てても面白そうとも思ったけど、時間圧縮して体験したいから仮想世界が良いのか。むずいね。
 
木星だったのは、前話のヴォールとの関係を想像してしまうな。同一世界だとすると、ヴォールの時の人類は33光年先に行って戻れるところまで来ているから、この話よりは進んでて後の時代なのかな。ヴォールで刺激は受けたけどクインビーの方で技術が発達したとか。その時の人類が夢うつつのどちらなのか、ヴォールも想像上の生き物でクインビーの手のひらなのかも不明になって怖いけど。
 
・自動機械のビーズたち、作業だけなら対話可能なAI搭載する意味がないのだけど、知的生命体をクインビーまで誘導するために設定しておいたのかな。それとも付加価値を付けたくなった日本メーカーみたいなノリ?暇だしな。そしてどうやって対話したんだ、言語体系どうなってたんだ。ビーハイヴの源流語も分からんって話だったのに。・・・余談だけど、ヘテロゲニアリンギスティコって漫画がその辺の未知とのコミュニケーション描いてて面白くて好きです。言語というより概念の有無や、仮定の話が通じないのが好き。
 

ストーリー寄り

・開始早々、事後でなんやねんと思ったけど、改めて考えると生き物の欲求とマイルズ先生の思いみたいな示唆を示したかったんかな。
 
・ビーズ達によって木星の質量を奪われ続けたら、重力減って惑星軌道が変わるの怖い。ハピタブルゾーンの話で、地球は太陽に寄ってしまうって話だと理解したけど、単純に衝突とかの方も怖いよね。解決できず軌道がずれていったら、火星は地球の環境に近づいたりしたんだろうか。それにしても惑星の動きが変わるほどかー、現実では先日のDART小惑星の軌道変えたすげー!だけど、将来的にこういう問題にもぶつかるんだろうか。
 
・2人のエリカで、同じ個体でも外的要因や接する順番が変わると感情や結末が変わってしまうのいいよね。運命や宿命も好きだけど、そういうドライな感じも現実ぽくて好きだな。
 
・人類は望む因果という餌を与えられた鑑賞対象になれるわけだけど、「その生物種の繁栄」という観点から見ると、家畜は意外に悪くなくて繁栄の一種だって見方を思い出す。クインビーは他の生き物は興味ないのかな、犬猫をはじめ、魚も爬虫類も地球の生き物は可愛くてかっこよくて素敵ですよ。一緒に連れていっておくれ。
 
・魂は置いておくと、その世界が本物か偽物かも結局認知できる範囲でしか人間は判断できないと思ってるので、丁寧にそこしか見せられないならそれは本物としか捉えられないよねー。敵の術中にはまって、自身が望む幻想の世界にいつの間にか囚われるっていうのファンタジー作品とかでもあるけど、そこで違和感に気づいてそれでも僕は現実を選ぶんだーってのは本作と同じだけど、相手が超越しすぎだから自分達以外は諦めるってのはオチとして良かった。長い物には巻かれよう。
 
・Outer Wildsのようにネタバレ対象に入れてないのでぼかすけど、某焼きそばパンゲームも世界観や外的環境とかで思い出したので一言だけ。やっぱいいよね、こういうの。
 

まとめ

Outer WildsのDLCを彷彿とさせる面白い話でした。
こういうことあったらどうなるんだろう、ってワクワクしたり考えたりできるのがSFの良いところですね。面白かった!